「へえ……身体を探してるんですか」


 ブロック塀の上の生首の話に相槌を打った。


「左様でござる。分かたれた我が身体が何処におるや、ご存じないないだろうか?」

「さすがにデュラハンの知り合いはいねえなあ」


 足元の影が腕を組んでぐにゃりと揺れた。

 さっきまで影と遊んでいた子猫のメトロが僕の足元に擦り寄ってきて温かい。

 けど、突然甘えたように鳴いて離れていった。


「あらあら、また珍しいお方だこと」


 細身の雌猫がメトロの首を噛んで持ち上げていた。


「こんにちは、メブキさん」

「こんにちは、坊や、影の方。そちらの生首さんはお友達?」


 話しかけられた生首が目をまん丸にしてメブキさんを見つめた。


「やや、喋る猫とは面妖な……」

「喋る生首に言われたくないわねえ」


 メブキさんはクスクス笑って、二股の尻尾がゆらりと揺れる。