帰宅して生首に慰霊碑の話をすると、目を見開いて黙ってしまった。
「……そうでござるか。……あいや、すまない。しばし、考えさせていただいても?」
「もちろん」
僕は宿題と明日の支度を済ませる。
晩ごはんとお風呂まで終わったところでリビングに行った。
父さんがゲームをしているので、隣に座る。
「あの、お願いがあるんだけど」
「んー?」
テレビでは砂に模様が描かれていた。
枯山水、だっけ。あれのふんわりした感じ。
「これなに?」
「風紋を作るゲーム」
「おもしろい?」
「飽きてきた」
「ふふ」
「なにか頼みたいんじゃないの?」
父さんはコントローラーを握って、テレビを見たまま言った。
「あの、行きたいところがあるから、車を出してほしくて」
「5W1H」
「次の土曜日の午前中、○○慰霊碑に、僕と荷物を」
「いいけど、荷物は何?」
「……風呂敷」
テレビの画面が一時停止した。
父さんが顔をしかめて僕を見ている。
「何関連?」
「…………何って言われると……強いて言うなら、メブキさん」
「終わったあとに神社に寄る」
「はい、行きます」
「じいさんのお祓いを受ける」
「はい、受けます」
影が嫌そうに小さくなったけど仕方ない。
父さんが僕の向こうを見た。
振り向いたけど誰もいない。
影がますます小さくなる。
「部屋の前の盛塩、交換しておいたから」
「ありがとう、父さん」
父さんは肩をすくめて、またゲームに戻った。テレビの中で砂が形を変えるのを少し見てから、僕と影は部屋に戻った。
生首は黙ってカーテンの隙間から外を見ていた。
「……そうでござるか。……あいや、すまない。しばし、考えさせていただいても?」
「もちろん」
僕は宿題と明日の支度を済ませる。
晩ごはんとお風呂まで終わったところでリビングに行った。
父さんがゲームをしているので、隣に座る。
「あの、お願いがあるんだけど」
「んー?」
テレビでは砂に模様が描かれていた。
枯山水、だっけ。あれのふんわりした感じ。
「これなに?」
「風紋を作るゲーム」
「おもしろい?」
「飽きてきた」
「ふふ」
「なにか頼みたいんじゃないの?」
父さんはコントローラーを握って、テレビを見たまま言った。
「あの、行きたいところがあるから、車を出してほしくて」
「5W1H」
「次の土曜日の午前中、○○慰霊碑に、僕と荷物を」
「いいけど、荷物は何?」
「……風呂敷」
テレビの画面が一時停止した。
父さんが顔をしかめて僕を見ている。
「何関連?」
「…………何って言われると……強いて言うなら、メブキさん」
「終わったあとに神社に寄る」
「はい、行きます」
「じいさんのお祓いを受ける」
「はい、受けます」
影が嫌そうに小さくなったけど仕方ない。
父さんが僕の向こうを見た。
振り向いたけど誰もいない。
影がますます小さくなる。
「部屋の前の盛塩、交換しておいたから」
「ありがとう、父さん」
父さんは肩をすくめて、またゲームに戻った。テレビの中で砂が形を変えるのを少し見てから、僕と影は部屋に戻った。
生首は黙ってカーテンの隙間から外を見ていた。



