嵐の日の午後。無事に雨が上がった。オヤツを食べ終えた僕と影は野苺とアザミの刺を探しに家を出た。
「どっちも時期じゃねえ。しかし、あるところには、ある」
僕は頷いて影と共に歩いた。
家を出て百歩。右に曲がって百歩。左に百歩戻る。
目を閉じて百数えたら『春の庭』だ。
「野苺もアザミも初夏だな。……百合もそういえば同じ時期だが……」
「猫娘の考えなんて想像しないほうがいいよ」
「そらそうだ」
僕は庭園の南側に向った。北側は三月とか四月の頃の草花。南側には五月六月の草花が生えていたはずだ。
「あった」
「俺がアザミを集めるから、お前は野苺な」
「うん、ありがと」
影は僕の手が痛くないようにアザミを担当してくれた。
見た目よりも過保護な影なのだ。
二人でしゃがみ込んで、野苺とアザミを集める。猫娘が寄越したカゴは一見小さいけど、中を覗き込むと底が見えない。
「あの生首、なんなんだろうね」
「さあなあ。ろくなもんじゃないことしか、わかんねえなあ」
「どういう目にあったら、首だけでうろつくことになるんだろう」
「わからねえなあ」
「わからないねえ」
かさかさ、がさがさ。
草をかき分けながら、僕と影は訳のわからない生首のために、猫娘の依頼をこなす。
「どっちも時期じゃねえ。しかし、あるところには、ある」
僕は頷いて影と共に歩いた。
家を出て百歩。右に曲がって百歩。左に百歩戻る。
目を閉じて百数えたら『春の庭』だ。
「野苺もアザミも初夏だな。……百合もそういえば同じ時期だが……」
「猫娘の考えなんて想像しないほうがいいよ」
「そらそうだ」
僕は庭園の南側に向った。北側は三月とか四月の頃の草花。南側には五月六月の草花が生えていたはずだ。
「あった」
「俺がアザミを集めるから、お前は野苺な」
「うん、ありがと」
影は僕の手が痛くないようにアザミを担当してくれた。
見た目よりも過保護な影なのだ。
二人でしゃがみ込んで、野苺とアザミを集める。猫娘が寄越したカゴは一見小さいけど、中を覗き込むと底が見えない。
「あの生首、なんなんだろうね」
「さあなあ。ろくなもんじゃないことしか、わかんねえなあ」
「どういう目にあったら、首だけでうろつくことになるんだろう」
「わからねえなあ」
「わからないねえ」
かさかさ、がさがさ。
草をかき分けながら、僕と影は訳のわからない生首のために、猫娘の依頼をこなす。



