流星群は、あまり見えなかった。
 雲がかかって、もやもやしている、流れ星の群は、別れにはそぐわない、中途半端な美しさだった。

 「見たかったの、これ。
 流星群。
 よくテレビとかでもやってるじゃん。
 別に星が好きとかじゃないけど、いつか見たいと思ってたの」

 想來くんがどんな顔をしているのか、どんな表情でこの星空を見ているのか、見れなかった。
 悲しい顔?
 嬉しい顔?
 寂しい顔?
 楽しい顔?

 悲しい顔じゃなければいいと思う。
 寂しい顔じゃなければいいと思う。

 「生きてると、色々あるよね」

 不意に口から出た言葉は、唐突すぎて、自分でも気持ち悪かった。

 「なんか、私たちってすごいと思うよ。
 まだ、こんな子供なのにさ、色々背負ってるなって。
 神様は、何をさせたいんだろうね。
 どうしてほしいんだろう。
 どうすればいいんだろう」

 こんなこと考えたって、絶対意味ないのに考えてしまう。

 堂々巡りな疑問に、どうしても突っかかってしまう。

 『生きればいいんだよ』

 空が大きくて、海が大きくて、自分の悩みがどうでもよくなってくるほど、世界が大きかった。

 『ただ、生きればいい。
 僕たちは、生きてれば、それでいいと思う』

 当たり前なことなのに、私たちは何を考えているんだろう。

 自分でも、今、何を思っていて、何を考えているのかわからなくなってくる。

 当たり前のことなのか、非凡なことなのか。

 「そうだね」

 生きればいい。
 とりあえず、生きてりゃ、それでいい。

 また、生きて会えるといいね。

 また、生きて会おう。

 また、いつか、必ず出会おう。

 ぽつぽつと降ってきた雨が、たちまち、私たちをずぶ濡れにさせた。
 逢瀬時の雨は、しばらく続いて、私たちはしばらく空を見ていた。

 雨が目に入って痛いのに、全然、気持ちいいはずなのに、心地よかった。

 全然嬉しくない、梅雨の終わりだった。