きみのとなりは春のにおい

(もし、わたしも……宙くんと同じ学校だったら)


 
もっと自然に隣にいられたかもしれない。



「大変だったね」って、顔を見て言えたかもしれない。


 
そんな思いが、胸の奥にひとしずく、静かに落ちる。


「……ひより?」


名前を呼ばれて、はっとする。



宙のまっすぐな視線に気づき、あわてて笑顔を浮かべるけど――


 

その奥にある、ちいさな寂しさは、うまく隠しきれなかった。


 
この距離を受け入れようとする気持ちと、
 


それでも、もう一歩だけ近づきたいと思う気持ち。


(もっと、近くにいたい。ほんの少しだけでも)


 
言葉にはできない願いが、胸の奥で、静かに膨らんでいく。