きみのとなりは春のにおい

不意にまゆがニヤリと笑う。


「ねぇ、昨日の夜とかさ、呼んでくれた時の宙くんの声とか表情とか思い出して、布団の中で絶対転がってたでしょ?」

「な、なんで知って…!?」

「ほら、図星〜〜!」

「ち、ちがうもん……!」

「いやいやいや、顔がもう“ごろごろしてました”って言ってる!」

「ちょ、心読まないで〜〜!!」


くすくす笑うふたりの声は、どこまでもやさしくて──
まるで春風みたいだった。

“ひより”と呼ばれたこと。


その響きは、今日も胸の奥で、静かに──でも確かに。


あたたかく残っていた。