きみのとなりは春のにおい


昼休み。


春の陽ざしが差し込む教室の一角で、ひより・まゆ・しおりの三人は、いつものように机をくっつけてお弁当を広げていた。


「ねぇねぇ、それでさ、昨日の図書カフェはどうだったの!?」


ふたを開けるなり、まゆが勢いよく身を乗り出す。


「ほらほら、レポート提出してもらわないと」


しおりが笑いながら箸を割りつつ、ひよりの顔をのぞき込む。


「その顔! 絶対なにかあったでしょ?」


「え、そ、そんなことないよ……っ」


ひよりは慌てて両手で頬を押さえる。けれど、そのしぐさすら照れ隠しにしか見えない。


「カフェの中、どんな雰囲気? 宙くん、どんな様子だった!?」


まゆがさらに前のめりに詰め寄ってくる。


「えっとね……静かで落ち着いたお店で、本がいっぱい並んでて、席もゆったりしてて……。宙くん、ああいう場所、意外と好きみたいだったよ。スイーツも美味しいって言ってたし……」



ひよりはぽつぽつと思い出しながら言葉をつなぐ。