きみのとなりは春のにおい

 
席に戻ると、チーズケーキとチョコパフェが運ばれてきた。


「少し食べる?」


「えっ、いいの……?」


 
宙が差し出したスプーンを受け取ろうとした瞬間、ふたりの手がかすかにふれた。


「……っ、ご、ごめん」
 

「ううん、大丈夫……」


 
照れた笑顔がふたつ、やさしい照明の中で向き合う。




「来てよかったな、今日」


 
ふと、宙が自然にこぼすように言った。


「わたしも……ほんとに、楽しい」


その言葉にふくらむ胸の鼓動。


 
この時間が、ただの“放課後”じゃないことに、ひよりは気づいていた。


 
ふたりはゆっくりとスイーツを口に運びながら、穏やかに言葉を交わす。


「ねぇ、宙くん」


 
声をかけると、宙が本から目を上げた。