きみのとなりは春のにおい



「……ねえ、それって、けっこう特別に思われてるんじゃない?」

「うんうん、わかる。宙くん、絶対にひよりのこと、気になってるよ!」



まゆが勢いよくうなずいて、ひよりの手をぽんっと叩いた。


ひよりは俯いたまま、小さく、でも確かにうなずいた。


「……なんか、うれしかった。ほんの少しのやりとりだけど、文字越しでも気持ちって、ちゃんと届くんだなって思った」

「うう……青春って、こういうのだよねぇぇぇ……」



まゆが感極まってまた机に突っ伏し、しおりは小さく笑ってひよりを見つめる。


──ドキドキした朝も、不安だったメッセージも。
こうして分かち合える友達がいてくれるから、ちゃんと前を向ける。


「……明日も、同じ電車に乗れるといいな」


ひよりがぽつりとつぶやくと、まゆがピッと指を立てた。


「大丈夫! 明日は寝癖ゼロで勝負でしょ? 完璧ひよりでいざ出陣!」  

「……うん」


ひよりは少し笑って、背筋をすっと伸ばす。



(明日も宙くんに会えますように。)


そう思いながら、スマホをギュッと握りしめた。