きみのとなりは春のにおい

「でさ、連絡したの? どっちから?」


「……さっき、休み時間に私から。“連絡先教えてくれてありがとう”って送ってみたの。あと、実は今日寝坊しちゃって寝癖ついてて、宙くんが教えてくれて。
それで、"次は、ちゃんと寝癖なおしておくね"って送ったら、すぐ既読ついて……」

「うおおお……!?で、で、返信は!? きたの!?」


ひよりはスマホを思い出すように見上げ、少し息を吸ってから、そっと言った。


「“こっちこそありがとう"ってきて……“寝癖、全然大丈夫だったのに。ちょっとかわいかったし”って」


「はああああああ!?!?」



まゆが盛大に机に突っ伏し、しおりは小さく悲鳴のような吐息を漏らす。

「それもうやさしさの域を越えてるよ!?」


「“ちょっとかわいかった”って、ナチュラルに!? え、何? そういうタイプなの? もしや、天然人たらし!?」

ひよりは顔を両手で覆いながら、さらに小さな声でつづけた。

「……私、“寝癖たちも救われるかも”って……返信しちゃって……」


「ちょ、待って、その返し天才じゃん!?」


まゆがひよりの肩をがしがし揺らし、しおりは吹き出しながら「味あるね〜」と笑った。

「でも宙くん、それにちゃんと返してくれたんだよね?」


「うん……“まさか寝癖に感謝されるとは。笑”って。あと、“今日の桜庭さん、見てて元気出た”って」

その言葉を口にしたとたん、ひよりの声が少しだけ震えた。


しおりがじっと目を見て言う。