きみのとなりは春のにおい

「……ねえ、最近ひより、ちょっと雰囲気変わった?」


その言葉に、ひよりはストローをくわえたまま、ぽかんと顔を上げた。


放課後のカフェ。


 駅前にある小さなお店で、小テストの勉強会という名目のもとに集まったけれど、気づけば教科書そっちのけでテーブルはドリンクとお菓子だらけになっていた。


向かいに座るのは、中学からの友達──加藤まゆと長谷川しおり。


ひよりのちょっとした変化も、ふたりにはすぐ見抜かれてしまう。


「へ、変わったって……なにが?」

「なんかさ、顔が明るくなったっていうか、目がキラキラしてるっていうか……」

「うんうん。最近、朝ちょっとにやけてることあるよね? これはもう……恋の予感!」

「ち、ちが……」

ストローをぐるぐる回しながら、ひよりは目を逸らす。


でも──嘘は、つけなかった。