きみのとなりは春のにおい

ひよりはポケットから、キャンディを取り出す。
 
包みを開けて、そっと口に入れると、やさしいミルクの甘さが広がった。


 
でもそれ以上に、舌の奥に残っているのは――


あのとき、彼の胸に触れたぬくもり。


胸の奥が、ふわっとくすぐったい。


今夜はきっと、あの声と笑顔が夢に出てくる。


そんな予感が、少しだけ嬉しくて。


ひよりは小さく笑いながら、駅の改札口へと歩き出した。