きみのとなりは春のにおい


「桜庭さん、ちゃんとご飯食べてる?」

「……え?」

急にそんなことを聞かれて、きょとんとする。

「腕、細すぎてさ。咄嗟につかんだとき、びっくりした」

「え、えぇぇっ……」

 
思わず変な声が出た。


「えっと、たぶん……1700キロカロリーくらいは……」

「……カロリーで返すんだ?」


 
宙がポカンとしたあと、ふっと吹き出した。

「ごめん、まさか数値で答えるとは思わなくて」

「す、すみません……」


 
――またやっちゃった。
 

友達にもよく言われる。「ひよりって、ちょっとズレてるよね」って。


「いや、ごめんって。真面目に答えてくれたのに笑っちゃって」


 
まだ少し笑いながらも、宙の目は優しかった。


 
その笑顔が、信じられないくらい眩しくて――