きみのとなりは春のにおい


「あ、そうだ。これ、よかったら」


差し出されたのは、小さなキャンディの包み。


「さっき駅前で買ったやつ。甘いの、苦手じゃなければ」

「……ありがとうございます」


 
受け取った指先に、彼の体温がふわっと残る。

 
そのとき、電車が大きく揺れた。

 
体がよろけたひよりを、とっさに宙が支える。
 

ぐっと引き寄せられて、そのまま彼の胸にぶつかってしまった。


「す、すみませんっ!」

「大丈夫? つかまってていいよ」

「だ、だいじょうぶですっ! ありがとうございます……っ」


顔を真っ赤にして、近くの手すりに手を伸ばす。


――また、助けてもらっちゃった。