日が沈み、家々の窓から明かりが灯る頃赤い風船と紙切れを持って窓からこっそり飛び出す。
 山の方へ目を細めると、微かな太鼓の声と光の柱が飛んでいる。次に周りを見ると、街の人ポツンポツンと森の方へ向かっている。

「付いて行けば…いいんだよね…」

  夜の森は、街の灯りもなく暗くて、やっぱり怖い。
 腰が抜けてしまいそう。膝が震えて立っているのがやっと。
 でも、「おいで」と誘われている、気がする。
 行きたい。
 赤い風船をギュッと握りしめて、森の中へ足を進めた。

 整備されてない、サーカスへ進む人達の草花を踏み固められた道を進む。私を追い越す大人は一瞬不思議な顔をして見られている。声をかけてくれる人は居ない。
 真っ直ぐ前だけ、サーカスへ進む道だけ見据えて歩く。

 バサバサッッ!!!!

「きゃあ!」