至上最幸の恋

 瑛士さんとの思い出の場所。
 ここで出会って、待ち合わせをして、たくさんお話をして……瑛士さんは、私の人生を変えてくださった。

 この想いを直接言葉にすることはできなくても、あなたのおかげで私はここにいるのだと、瑛士さんに届けたい。

 シャッターを切る音が聞こえた。

 きっと磯崎さんは、私が瑛士さんのことを考えていると分かっていらっしゃる。そしてそのときの私が、どんな表情をするのかも。

 写真集の企画が立ち上がったとき、磯崎さん以外のカメラマンは嫌だと、初めてわがままを言った。だって彼以外に、私の本当の心を映せる方はいないもの。

「ここは、エリサちゃんにとって大切な場所なんだね」
「はい」
「じゃあ、当時のことを思い出しながら歩いてみて」

 磯崎さんは、それ以上深く掘り下げなかった。ほかのスタッフの方もいらっしゃるものね。
 
 ヨハン・シュトラウス像が見えてきた。瑛士さんと初めてお会いしたのは、あのベンチだわ。突然話しかけた私に驚きながらも、言葉をきちんと聞いてくださったわね。
 
 あの日をなぞるように、ベンチの端へ腰掛ける。

 私がピアニストとモデルの両立を目指すようになったのは、瑛士さんに見つけてもらいたかったから。

 もし帰国後に連絡が取れなくなってしまっても、モデルとしてメディアに出ていれば、クラシックに疎い瑛士さんにも、私の存在に気づいていただけると思ったの。