至上最幸の恋

「エリサちゃんの決意表明、だそうです」
「なんでいま……」

 黒瀬さんが苦笑する。そして、少し照れながら頷いた。

「楽しみにしています。エリサさんの初めての写真集ですから」
「はい!」
「磯崎さん。エリサさんを、よろしくお願いします」
「……責任重大だなぁ、いろいろと」
 
 いろいろって、どういう意味かしら。カメラマンとして……という意味よね?

 よく分からないけれど、黒瀬さんにも了承していただけてよかったわ。せっかくウィーンに来ているのに、周りの目ばかり気にしていたら悲しいもの。

 さて、どこへ行こうかしら。この近くでいろいろなお店があるところといえば、ラントシュトラーセ大通りよね。すぐ近くだし、そこでよさそうなところを探しましょう。

「ひとまず、大通りへ行きますね」
「お任せするよ。僕はなんでも食べられるから、エリサちゃんの好きなお店でいいよ」

 やっぱり磯崎さんは、自然に人を安心させてくださる方ね。とてもスマートで、いつもさりげなく気遣ってくださる。

 女性との噂ばかり立ってしまうのは、この優しさを特別なものだと受け取ってしまう人が多いからかもしれないわね。
 
「このあたりには、よく来ていたの?」
「ええ。大学がすぐ近くですから」
「そうだったね。いい環境だなぁ」

 なんだか不思議。ウィーンの街を、磯崎さんとふたりで歩いているなんて。