至上最幸の恋

 その日は、夜遅くまでいろいろな話をした。
 
 たまに拓也君が覗きにきて、会話に加わる。長谷川家は、親子でよく言葉を交わす家なのだと感じた。

 オレもこんな息子だったら、父はもっと幸せだったのだろうか。ふと、そんなことを思ってしまう。

 ついそれを口にすると、睦美さんに軽く笑いとばされた。

「拓也は、たまたま喋るのが好きなだけたい。無理に言葉で伝えようとせんでも、瑛士君には瑛士君のやり方があるとよ」

 そう言われて、思いついた。父に絵ハガキを送ろう。
 この旅でオレが見たもの、感じたことを、小さな絵にして送る。それが、オレなりのコミュニケーションだ。

 翌日、近くの郵便局で、さっそくハガキを数枚買った。

「絵ハガキかぁ。それは、お父さんも喜ぶっちゃないかなぁ」

 車のハンドルを握りながら、拓也君が頷いた。
 オレは昨晩の酒が残っているので、今日は拓也君が糸島を案内してくれている。
 
「拓也君を見習って、オレも親孝行しないとって思ってな」
「いやぁ、俺はまだまだやけん。はよ一人前になって、親父の役に立たんと」
「そういう気持ちが、親孝行なんだよ」

 彼のように、気持ちを素直に言葉にできるのは羨ましい。
 けれど、睦美さんの言うように、たまたま方法が違うだけなのだろう。