至上最幸の恋

 父親のことを真っすぐ尊敬しているのが伝わってきて、少し眩しかった。
 オレも彼のように、思ったことを素直に口にできれば。そう思ったが、すぐに考えるのをやめた。

 この性格は親譲りだ。そしてそれは、父も同じ。好き好んで口下手になったわけではない。それなら、自分なりのやり方で伝えていくしかない。

 長谷川家の賑やかな食卓に加わっていると、自分の家族のことが頭に浮かんできた。

 最後に両親とそろって食事をしたのは、いつだっただろう。それが当たり前のように過ごしていたので、はっきりと覚えていない。

 今日も父は、ひとりで食事をしているのだろうか。

「瑛士君は、飲めるとね?」

 具がたっぷりのちらし寿司をいただいたあと、信さんが日本酒の瓶を出してきた。
 拓也君は恋人と電話の約束をしているそうで、部屋に戻っている。

「一応、飲めます。少しだけですが」
「それなら少し付き合ってくれんか」
「はい、いただきます」
 
 酒を飲むのはかなり久しぶりだ。
 寒いので、睦美さんが燗をつけて、お猪口へ注いでくれた。

「ところで瑛士君、ご両親はおるとね?」
「母は子どものころに病気で他界しました。父は、鎌倉でひとり暮らしです」
「そげんね。そら大変やったろ」
「いえ……」

 曖昧に答えて、日本酒をひと口飲んだ。
 フルーティーで上品な甘みを感じる。福岡の地酒か。瑞々しい口当たりで、とても飲みやすい。