SHT☆ハロウィンの夜に 橋のオバケと片岡家の教え─暁に星の花を束ねてサイドストーリー

夜の橋。
月明かりの下で対峙する二人の片岡。

「しかしご先祖様……」

現代の片岡が眼鏡をクイッと上げる。

「金のスマホはレアものでは? いま金の価格は最高値を記録しております。投資対象としてはむしろ──」

オバケ片岡は深々とため息をついた。

「愚か者!」

川面がざわりと揺れ、声が響き渡る。

「金はいつでも貴重なのだ。時代に左右されぬ価値を持つ。投資家ならば永遠の保存データと同じだと心得よ」

「ははぁ……っ!」

現代片岡は思わず膝をつき、畏敬の眼差しを向けた。

「やはり先祖代々、片岡家は資産管理の血脈……!」

オバケはさらに一歩近づき、冷ややかに囁く。

「……それよりもおまえ──無駄なサブスクを整理したか?」

「!?」

「無料ほど高いものはない。真に怖ろしいのは──自動更新だ」

「……ッ!!」

片岡は言葉を失った。

「解約日はカレンダーに記せ」

オバケ片岡はそう言い残し、再び霧に消えた。



──翌日の社内

「ねぇねぇ、聞いた? 片岡課長のご先祖様オバケ、スマホよりサブスクの方を心配してたんだって!」

「……やっぱり出たのか」

佐竹がぼそり。

葵は震えながら囁いた。

「わ、わたしの……音楽サブスクもチェックされちゃうのかなぁ……」

片岡は真顔で言い放った。

「ご先祖様の教えを守り、今日から経理部に無駄サブスク削減案を提出します」

「ぎゃあああああーーーっ!!」

社員一同が悲鳴を上げるのだった。