──夜の橋。
月が雲に隠れ、霧がゆっくりと流れていた。
「……なぜおれ似のオバケが噂されている? 確かめてみよう」
片岡はコートの襟を立て橋に立ち、使わないスマホを川に投げる片岡。
「しまった、あのスマホまだ……」
何かを思い出した片岡。
先日と同じく霧の中から再び影が現れた。
眼鏡がギラリと光る。
「おまえが落としたのは──金のスマホか、銀のスマホか?」
「その顔……もしや、ご先祖様!?」
「愚か者……バックアップを怠るとは、片岡家の恥」
「やはり血縁……!」
「……クラウド保存を怠るな……」
オバケ片岡は霧に溶けて消えた。
──翌朝のオフィス。
「聞きました!? 片岡課長、昨夜オバケと会話してたって!」
「クラウド保存を怠るなって云われたらしいよ」
「……あの課長、ついに守護霊と直談判か……」
片岡は冷静に一言だけ言った。
「先祖もデータ管理に厳しい。それが片岡家です」
「こわぁぁーーっ!!」
葵が震えながら佐竹の背中に隠れた。

