入学して1ヶ月経った頃。


『数学の係の人はノートを集めて先生のところまで持ってきてくださいー』


数学の係…

確か栗原さんだ。

皆が教卓の上にノートを置いていく。

俺は皆が置き終わってから席を立った。


「どうした?」


栗原さんが教卓の上にあるノートをじっと見つめていた。


「…これ、重いから2回に分けて持っていこうと思って」

「…面倒くさ」

「じゃあ持ってくれる?」


だったら手伝えよって言わんばかりの口調。

つーか…最初から人に頼めば良いだろ。

俺は3分の2ほど持って教室を出た。