「…昔ね、美羽と海に入って遊んだ時にサンダルが片方脱げちゃって…お気に入りのサンダルだったから追いかけたんだ。サンダルを追いかけるほど波に押されて遠くなっていく。…そしたら急に足が着かなくなって…美羽が私の手を引っ張って助かったの」
「…怖かったね」
「私…その時に美羽を責めちゃって…。お気に入りのサンダルなのに!って…。美羽がいなかったら私は死んでたはずなのに…」
「…うん」
「その日は口をきかなかった。次の日、美羽は一人で出かけようとしてたからどこに行くの?って聞いたら『サンダル探しの旅』って言ったの。別の海岸に打ち上げられてるかもしれないって…1人で探そうとしてて。そこまでしなくていいよって仲直りしたの」
「美羽って怖いもの知らずだよね。私は雷もお化けも怖いのに」
「栗原さんが羨ましい?」
「…そう思ってた。あの日までは…」
あの日…。
多分、栗原さんが自殺しようとした日のことだよね。
「…怖かったね」
「私…その時に美羽を責めちゃって…。お気に入りのサンダルなのに!って…。美羽がいなかったら私は死んでたはずなのに…」
「…うん」
「その日は口をきかなかった。次の日、美羽は一人で出かけようとしてたからどこに行くの?って聞いたら『サンダル探しの旅』って言ったの。別の海岸に打ち上げられてるかもしれないって…1人で探そうとしてて。そこまでしなくていいよって仲直りしたの」
「美羽って怖いもの知らずだよね。私は雷もお化けも怖いのに」
「栗原さんが羨ましい?」
「…そう思ってた。あの日までは…」
あの日…。
多分、栗原さんが自殺しようとした日のことだよね。



