後悔しない、ひとつのこと

しばらくすると二人は立ち上がり、庭のお手入れを始めた。たくさん話しながら。

今まで出来なかった話をするかのように。

すっかり日も落ちた頃、明人さんが尋ねた。

「廉、父さんは.....廉の父さんでいていいのか?あんな事をした父さんを....まだ、父さんと呼んでくれるか?」

明人さんは不安そうに目を伏せる。

でも、廉は笑顔で答えた。

「何言ってんだよ。俺の父さんだろ。俺は父さんの息子。そうだろ?」

「ああ、そうだなっ....」

二人はきっと大丈夫。

これから何があっても、きっと乗り越えられる。

そんなふうに私は信じようと思った。思えた。

「爽さん、申し訳ありません。もう夜遅いですし、送ります。親御さんも心配されていることでしょう」

スマホで時間を確かめる。

20:37

お母さんから連絡はない。まだ帰ってないのかな。

「お願いしてもいいですか」

「もちろんです。廉も行こう」

「あたりまえ」

この親子は本当に仲がいい。

そう思えるようになったこと。

それが奇跡のように思えた。