だってそこには、もうかかってこないと思っていた“雄大”と表示されていたから。 「ちょっとごめん。」 私は急いで部屋を出て静かな場所を探す。 一つ深呼吸をして通話ボタンを押した。 「…もしもし?」 『千尋? いきなりごめんな。 …今から会えないかな?』 雄大からの突然の誘い。 「…いいよ。」 私は会いに行く事に決めた。 待ち合わせ場所を決め私は部屋に戻り、みんなに“急用が出来た”と嘘をついてカラオケをあとにした。 会いたい気持ちが後押しして、自然と歩く速度が上がる。