次の週
○日中、マンション、リビング
ダイニングテーブルにいる弥生とソファにいる芳樹
弥生「え、お見合い?」
芳樹「そ!もちろん兄貴は断るみたいだけど、年齢的にも立場的にも、親父は早く結婚してほしいんだろうな。つーか、令和の時代にお見合いってなんだよって感じだよな。まぁ、向こうも良いとこのお嬢さんみたいだけど」
弥生「社長に私とのことは伝えてないんですよね?」
芳樹「あぁ。さすがに大学生と付き合ってるのは言えないだろ」
弥生(そりゃそうだよね。お互いの立場関係なく付き合うことを選んだけれど、こういう時一気に現実が押し寄せてくる…だけど…)
芳樹「…不安?」
弥生「不安というより慣れなきゃって感じですね」笑顔
ハッとする芳樹
弥生「宏樹さんの立場を分かった上で付き合ったのは私だし、あと2年大学生なことも変えられないし。万が一宏樹さんが自身の立場を考えて、他の女性を選ぶ日が来たら、それは仕方ないことだと思います。それは宏樹さんのこと好きじゃないとかではなくて、そういう覚悟を持って付き合っていかないと」
芳樹「ふっ…前から思ってたけど根性据わってるよな」
ドヤ顔する弥生。
夜、ソファに座る宏樹は考え事をしている様子。
弥生「どうかしました?」
隣に座る。
宏樹「弥生ちゃんに話さないといけないことがあって…」
弥生(お見合いのことだろうな)
宏樹「実は父親にお見合いをするように言われたんだ。もちろん断るつもりなんだけど」
弥生「…引き受けて大丈夫ですよ」
宏樹「え…」
弥生「彼女いないってお父様に伝えているまま、今後も断り続けるのは難しいと思います。もちろん、最初から断るつもりなのは相手の方に失礼ですけど、会わずに断るのも限界があるでしょうし」
宏樹「…弥生ちゃんが嫌な気持ちになることをしたくないんだ」
弥生「その気持ちは充分伝わってますよ。伝わってるから私は嫌な気持ちにはなりません」笑顔
宏樹「弥生ちゃん…」
ぎゅ、抱きしめる
宏樹「ありがとう」
数日後
○昼間、商業施設、テラス席
元カレ「弥生」声のみ
振り返る弥生。
元カレの上半身ショット。
弥生「びっくりしたー。久しぶりだね」
元カレ「久しぶり」
弥生(会うの高校卒業以来だな)
元カレ「誰か待ってんの?」
弥生「うん、友達待ってる。早く着いちゃって」
元カレ「来るまで座ってていい?」
弥生「…別にいいけど」
向かいの席に座る。
元カレ「ひと口ちょーだい」
返答を待たずに弥生の飲み物を飲む。
弥生「ちょっと!」
元カレ「ダメだった?」平然としている
弥生(…変わらないな。言葉数が少ないくせに、人との距離感が近くて、憎めない感じ)
元カレの耳に視線がいく、ピアス
弥生(あ…)
「まだ付けてるんだ」
元カレ「え?あー」ピアスを触る
「貰ったものに罪はないし、気に入ってるから」
弥生「…彼女は嫌がるんじゃない?元カノに貰ったアクセサリーなんて付けられてたら。私なら嫌だもん」
元カレ「いないから大丈夫」
弥生「あ、そうなんだ…」
しばらくして
多世「モッチー!」手を振る
振り返す弥生。まだ元カレに気付いていない。
テーブルのそばに来る、元カレが視界に。
多世(!?誰!?)
元カレ「こんちわ」ぺこり
「じゃ、俺行くね」
去って行く
多世「今のイケメンは誰!?」
弥生「…元カレ。偶然会って…」
多世「ええー!?めちゃくちゃ好みなんですけどー!ゆるい雰囲気なのに人当たりは良さそうで、そんでもってお洒落さん!」
弥生(興奮してる…)
「とりあえず座りなよ」
多世「何であんな良い男振ったのよ」
弥生「え、何で振ったって分かったの!?」
多世「分かるわよ。あーゆー男は恋愛になりにくいけど、一度好きになったらとことん一途なタイプよ」
弥生「わー、たよちゃん名推理ー。確かにモテる人だったんだよねぇ。でも恋愛とか興味ない感じでさ」
多世「その難易度高めな彼を射止めたわけね。ちょっと飲み物買ってくるわね」
弥生「うん」
自分の飲みものを見ながら伏し目がちな弥生。
回想、弥生高校時代
○高校、
元カレ「ねー、誕生日ピアスちょーだい」
弥生「え、開いてないじゃん!?」
元カレ「開ける。弥生と半分こで付けたい」
弥生「…分かった」頬染まる
再び現在
弥生(こっちに就職したのかな…)
数日後
○日中、日本料理店、和の個室
お見合いの日
両家が向き合い座って、話している様子。宏樹は父親のみ、相手側は父親と母親。相手の女性着物姿。
相手の父親「せっかくだし、外で2人で話して来なさい」
外にある庭園を歩く宏樹と女性。
相手の女性「宏樹さんは、お休みの日はどんな風に過ごされるんですか?」
宏樹(弥生ちゃん以外に宏樹さんって呼ばれるの違和感だな)
「僕は、…」
○夕方、マンション
弥生はバイトに行くため玄関を出ようとしている。
弥生(終わったって連絡あったけど、バイト前に会っておきたかったな…)
ガチャ、ドアを開けると、ちょうど宏樹が帰ってくる。
驚き見つめ合う2人、スローモーション風。
宏樹「弥生ちゃんっ!」
ドアが閉まり、ぎゅ…と抱き締める
宏樹「間に合ってよかった。…僕の気持ちは1ミリも動いてないから、安心してって直接伝えたくて」
弥生(急いで帰ってきてくれたんだ…)
「安心しました。ありがとうございます」
宏樹「バイト前なのに引き止めてごめんね」
弥生「いえ、私も会いたかったので」
宏樹「今夜は弥生ちゃんの好きなもの作るから、一緒に夜ご飯食べよう」
弥生「はい」笑顔
ちゅ、弥生のおでこにキスをする
宏樹「行ってらっしゃい」
6月
○日中、外
スーツ姿の宏樹が休憩中に自動販売機に行くと、隣のベンチに元カレが座っていた。
宏樹(あれ、この子…)
元カレの顔をじっと見る。
宏樹(あ!弥生ちゃんの卒アルにいた!雰囲気のあるかっこいい子だったから覚えてる)
視線に気付く元カレ
元カレ「…俺の顔になんか付いてます?」
宏樹「えっ、あ、すいません」
宏樹の着信が鳴り、出る
宏樹「もしもし、弥生ちゃん?あ、うん…」会話中
元カレ(弥生…?もしかして…)
宏樹「じゃ、後で」電話切る
元カレ「あの、望月弥生の知り合いですか?」
宏樹「え?…知ってるの?」
元カレ「…付き合ってたから」
宏樹「…。」
じっと宏樹を見る元カレ。
宏樹「そうなんだ。今は僕と付き合ってるよ」
目線を一度下げ、再び宏樹を見る元カレ
元カレ「そのうち振られるよ」
宏樹「それ、どういう意味?」
それぞれのアップ
○日中、マンション、リビング
ダイニングテーブルにいる弥生とソファにいる芳樹
弥生「え、お見合い?」
芳樹「そ!もちろん兄貴は断るみたいだけど、年齢的にも立場的にも、親父は早く結婚してほしいんだろうな。つーか、令和の時代にお見合いってなんだよって感じだよな。まぁ、向こうも良いとこのお嬢さんみたいだけど」
弥生「社長に私とのことは伝えてないんですよね?」
芳樹「あぁ。さすがに大学生と付き合ってるのは言えないだろ」
弥生(そりゃそうだよね。お互いの立場関係なく付き合うことを選んだけれど、こういう時一気に現実が押し寄せてくる…だけど…)
芳樹「…不安?」
弥生「不安というより慣れなきゃって感じですね」笑顔
ハッとする芳樹
弥生「宏樹さんの立場を分かった上で付き合ったのは私だし、あと2年大学生なことも変えられないし。万が一宏樹さんが自身の立場を考えて、他の女性を選ぶ日が来たら、それは仕方ないことだと思います。それは宏樹さんのこと好きじゃないとかではなくて、そういう覚悟を持って付き合っていかないと」
芳樹「ふっ…前から思ってたけど根性据わってるよな」
ドヤ顔する弥生。
夜、ソファに座る宏樹は考え事をしている様子。
弥生「どうかしました?」
隣に座る。
宏樹「弥生ちゃんに話さないといけないことがあって…」
弥生(お見合いのことだろうな)
宏樹「実は父親にお見合いをするように言われたんだ。もちろん断るつもりなんだけど」
弥生「…引き受けて大丈夫ですよ」
宏樹「え…」
弥生「彼女いないってお父様に伝えているまま、今後も断り続けるのは難しいと思います。もちろん、最初から断るつもりなのは相手の方に失礼ですけど、会わずに断るのも限界があるでしょうし」
宏樹「…弥生ちゃんが嫌な気持ちになることをしたくないんだ」
弥生「その気持ちは充分伝わってますよ。伝わってるから私は嫌な気持ちにはなりません」笑顔
宏樹「弥生ちゃん…」
ぎゅ、抱きしめる
宏樹「ありがとう」
数日後
○昼間、商業施設、テラス席
元カレ「弥生」声のみ
振り返る弥生。
元カレの上半身ショット。
弥生「びっくりしたー。久しぶりだね」
元カレ「久しぶり」
弥生(会うの高校卒業以来だな)
元カレ「誰か待ってんの?」
弥生「うん、友達待ってる。早く着いちゃって」
元カレ「来るまで座ってていい?」
弥生「…別にいいけど」
向かいの席に座る。
元カレ「ひと口ちょーだい」
返答を待たずに弥生の飲み物を飲む。
弥生「ちょっと!」
元カレ「ダメだった?」平然としている
弥生(…変わらないな。言葉数が少ないくせに、人との距離感が近くて、憎めない感じ)
元カレの耳に視線がいく、ピアス
弥生(あ…)
「まだ付けてるんだ」
元カレ「え?あー」ピアスを触る
「貰ったものに罪はないし、気に入ってるから」
弥生「…彼女は嫌がるんじゃない?元カノに貰ったアクセサリーなんて付けられてたら。私なら嫌だもん」
元カレ「いないから大丈夫」
弥生「あ、そうなんだ…」
しばらくして
多世「モッチー!」手を振る
振り返す弥生。まだ元カレに気付いていない。
テーブルのそばに来る、元カレが視界に。
多世(!?誰!?)
元カレ「こんちわ」ぺこり
「じゃ、俺行くね」
去って行く
多世「今のイケメンは誰!?」
弥生「…元カレ。偶然会って…」
多世「ええー!?めちゃくちゃ好みなんですけどー!ゆるい雰囲気なのに人当たりは良さそうで、そんでもってお洒落さん!」
弥生(興奮してる…)
「とりあえず座りなよ」
多世「何であんな良い男振ったのよ」
弥生「え、何で振ったって分かったの!?」
多世「分かるわよ。あーゆー男は恋愛になりにくいけど、一度好きになったらとことん一途なタイプよ」
弥生「わー、たよちゃん名推理ー。確かにモテる人だったんだよねぇ。でも恋愛とか興味ない感じでさ」
多世「その難易度高めな彼を射止めたわけね。ちょっと飲み物買ってくるわね」
弥生「うん」
自分の飲みものを見ながら伏し目がちな弥生。
回想、弥生高校時代
○高校、
元カレ「ねー、誕生日ピアスちょーだい」
弥生「え、開いてないじゃん!?」
元カレ「開ける。弥生と半分こで付けたい」
弥生「…分かった」頬染まる
再び現在
弥生(こっちに就職したのかな…)
数日後
○日中、日本料理店、和の個室
お見合いの日
両家が向き合い座って、話している様子。宏樹は父親のみ、相手側は父親と母親。相手の女性着物姿。
相手の父親「せっかくだし、外で2人で話して来なさい」
外にある庭園を歩く宏樹と女性。
相手の女性「宏樹さんは、お休みの日はどんな風に過ごされるんですか?」
宏樹(弥生ちゃん以外に宏樹さんって呼ばれるの違和感だな)
「僕は、…」
○夕方、マンション
弥生はバイトに行くため玄関を出ようとしている。
弥生(終わったって連絡あったけど、バイト前に会っておきたかったな…)
ガチャ、ドアを開けると、ちょうど宏樹が帰ってくる。
驚き見つめ合う2人、スローモーション風。
宏樹「弥生ちゃんっ!」
ドアが閉まり、ぎゅ…と抱き締める
宏樹「間に合ってよかった。…僕の気持ちは1ミリも動いてないから、安心してって直接伝えたくて」
弥生(急いで帰ってきてくれたんだ…)
「安心しました。ありがとうございます」
宏樹「バイト前なのに引き止めてごめんね」
弥生「いえ、私も会いたかったので」
宏樹「今夜は弥生ちゃんの好きなもの作るから、一緒に夜ご飯食べよう」
弥生「はい」笑顔
ちゅ、弥生のおでこにキスをする
宏樹「行ってらっしゃい」
6月
○日中、外
スーツ姿の宏樹が休憩中に自動販売機に行くと、隣のベンチに元カレが座っていた。
宏樹(あれ、この子…)
元カレの顔をじっと見る。
宏樹(あ!弥生ちゃんの卒アルにいた!雰囲気のあるかっこいい子だったから覚えてる)
視線に気付く元カレ
元カレ「…俺の顔になんか付いてます?」
宏樹「えっ、あ、すいません」
宏樹の着信が鳴り、出る
宏樹「もしもし、弥生ちゃん?あ、うん…」会話中
元カレ(弥生…?もしかして…)
宏樹「じゃ、後で」電話切る
元カレ「あの、望月弥生の知り合いですか?」
宏樹「え?…知ってるの?」
元カレ「…付き合ってたから」
宏樹「…。」
じっと宏樹を見る元カレ。
宏樹「そうなんだ。今は僕と付き合ってるよ」
目線を一度下げ、再び宏樹を見る元カレ
元カレ「そのうち振られるよ」
宏樹「それ、どういう意味?」
それぞれのアップ



