そんな満たされた時間を過ごした翌日から、匠真は忙しい日々が続いていたようで、金曜日になっても一度もプラチナにランチを食べに来なかった。彼の迷惑にならないようメッセージを送るのも控えていたので、月曜の早朝に匠真が沙耶の部屋から帰って以来、彼の顔を見ても、声を聞いてもいないのだ。
プラチナに来られない日は、病院内にあるカフェのサンドイッチやコンビニのおにぎりで済ませていると聞いていたので、彼がきちんと食事をとれているのか心配になる。
(心配になる、と言えば、涼花さんもなんだよねぇ)
沙耶はプラチナの二階でコロッケプレートを食べながら、向かいの席で一緒にランチ休憩を取っている涼花を見た。彼女はサンドイッチを手に持ったまま、ぼんやりと座っている。
「涼花さん、食欲ないんですか?」
沙耶が訊くと、一拍置いてから涼花の目の焦点が合う。
「えっ、沙耶ちゃん、なにか言った?」
「はい。あの、涼花さん、なにか心配事があるんですか? 食欲がないみたいですけど……」
「あ、ごめんごめん。ちょっとボーっとしてただけ」
涼花は笑ってサンドイッチをパクッと食べた。しかし、モグモグする動きに力がない。
「体調悪いんですか?」
沙耶の心配顔を見て、涼花は軽く右手を振った。
「やだな、そんな顔しないで。私はいつもどおりだよ? あ、このサンドイッチ、やっぱりおいしいなぁ。さすが私が作っただけある! なーんちゃって」
涼花はおどけた口調で言って、パクパク食べはじめた。どう見ても明るく振る舞おうとしているようにしか見えないが、本人が言いたがらないのだから、無理に聞き出すのはよくないだろう。
それでも気になって、沙耶は箸を置いて涼花を正面から見た。
「涼花さんは私にとってとても大切な人なんです。困っていることやつらいことがあったら、いつでも言ってくださいね。涼花さんのためなら、私、全力で力になりますから」
涼花は刹那、表情を歪めた。泣きだしそうにも見えたが、すぐにいつもの笑顔になった。
「ありがとう。そんなふうに言ってもらえてすごく嬉しいけど、大丈夫だよ。でも、沙耶ちゃんに助けてほしいときは、ちゃんと言うね。そのときはよろしく」
涼花は茶目っ気のある表情でウインクしてから、テーブルに両肘をついて顎を支えて、ニヤニヤ笑いを浮かべる。
プラチナに来られない日は、病院内にあるカフェのサンドイッチやコンビニのおにぎりで済ませていると聞いていたので、彼がきちんと食事をとれているのか心配になる。
(心配になる、と言えば、涼花さんもなんだよねぇ)
沙耶はプラチナの二階でコロッケプレートを食べながら、向かいの席で一緒にランチ休憩を取っている涼花を見た。彼女はサンドイッチを手に持ったまま、ぼんやりと座っている。
「涼花さん、食欲ないんですか?」
沙耶が訊くと、一拍置いてから涼花の目の焦点が合う。
「えっ、沙耶ちゃん、なにか言った?」
「はい。あの、涼花さん、なにか心配事があるんですか? 食欲がないみたいですけど……」
「あ、ごめんごめん。ちょっとボーっとしてただけ」
涼花は笑ってサンドイッチをパクッと食べた。しかし、モグモグする動きに力がない。
「体調悪いんですか?」
沙耶の心配顔を見て、涼花は軽く右手を振った。
「やだな、そんな顔しないで。私はいつもどおりだよ? あ、このサンドイッチ、やっぱりおいしいなぁ。さすが私が作っただけある! なーんちゃって」
涼花はおどけた口調で言って、パクパク食べはじめた。どう見ても明るく振る舞おうとしているようにしか見えないが、本人が言いたがらないのだから、無理に聞き出すのはよくないだろう。
それでも気になって、沙耶は箸を置いて涼花を正面から見た。
「涼花さんは私にとってとても大切な人なんです。困っていることやつらいことがあったら、いつでも言ってくださいね。涼花さんのためなら、私、全力で力になりますから」
涼花は刹那、表情を歪めた。泣きだしそうにも見えたが、すぐにいつもの笑顔になった。
「ありがとう。そんなふうに言ってもらえてすごく嬉しいけど、大丈夫だよ。でも、沙耶ちゃんに助けてほしいときは、ちゃんと言うね。そのときはよろしく」
涼花は茶目っ気のある表情でウインクしてから、テーブルに両肘をついて顎を支えて、ニヤニヤ笑いを浮かべる。

