辣腕クールな脳外科医は、偽りの婚約者を甘く堕として妻にする

 匠真はふっと笑みをこぼして、沙耶の手のひらをぺろりと舐めた。
「あっ」
 かすかな刺激なのに、すでに快感を与えられた体は簡単にうずく。
「沙耶」
 彼女の指先を口に含んだ彼は、野性的な色気を孕んでいた。普段見たことのない彼のオトコの表情に、ゾクゾクする。
「いい?」
 沙耶がコクリとうなずくと、彼が沙耶の太ももを持ち上げた。彼のたくましい体が覆いかぶさって、重ねられた肌の熱に溶けてしまいそうだ。
 彼がゆっくりと中に押し入ってくる。
「……ん、んんっ」
 今まで感じたことのない圧迫感と重量感に息が詰まる。それでも彼ともっと深くつながりたくて、沙耶は彼の腰に脚を絡めた。
「うっ、沙耶っ」
 彼が悩ましげに眉を寄せて、沙耶を強く抱きしめた。自然とつながりが深くなって、奥まで彼で満たされていくのがわかる。
「あっ、ああ……っ」
 深く埋められて苦しいぐらいなのに、胸の奥から熱いものが湧き上がって、全身を温かく満たしていく。
 その温もりに押されるまま、想いを伝える。
「匠真さん、大好きです」
「俺も沙耶が大好きだ」
 匠真がゆっくりと腰を動かし、沙耶は彼のたくましい肩にすがりついた。同じリズムを刻むにつれて、彼とひとつになった悦びが熱く全身を包み込んでいった。

 結局、夕食の準備に取りかかったのは、夜の八時近くになってからだった。
 狭いベッドの上で肌を重ねたまま、匠真がなかなか離してくれなかったからだ。
 とはいえ、沙耶自身、彼の腕の中が心地よくて離れがたかった。このまま朝まで彼の腕に包まれていたい。そんな誘惑にどうにか抗い、彼のために料理をしようと服を着てベッドから降りたのだが――。
「沙耶、芽キャベツはこれでいい?」
 匠真が芽キャベツをすべて半分に切って言った。
「はい、ありがとうございます」
 お礼の手料理なのだからゆっくりしててください、とお願いしたのだが、彼が沙耶を手伝いたいと言ってくれたため、こうして一緒にキッチンに立っている。