沙耶は顔を上げたが、彼女を抱きしめる匠真の腕は緩まない。そのせいで、沙耶の顔のすぐ前に匠真の顔があった。今にも唇が触れそうな近さに、沙耶の胸が苦しいくらいに締めつけられる。
彼は眉を寄せて、低くかすれた声を出す。
「沙耶」
「どうしたんですか?」
沙耶の声もかすれてしまった。
「離したくない」
匠真が沙耶の目を覗き込み、彼の息が唇にかかって、沙耶は息をのんだ。
「でも、私たちは、期間限定の――」
偽恋人で、と言いかけたとき、沙耶の唇に匠真が人差し指を立てて当てた。驚いて続きの言葉が喉の奥で消える。
「プラチナで沙耶と過ごすうちに、沙耶の笑顔を独占したいと思うようになった。だが、まだ君の心の傷が癒えていないようだったから、そばで見守ることにしたんだ。偽りの関係を持ちかけたのは、沙耶をほかの男に渡したくなかったからだ。君に期間を決めようと言われたときは少しがっかりしたが、その間に君に俺を好きになってもらおうと決めたんだ」
そう言って、匠真は片方の口角を引き上げた。不敵に見えるその表情は、偽恋人の期間を決めたときに、三カ月で『大丈夫だ』と言った彼と同じ表情だった。
「ほんと、ですか?」
嬉しすぎて信じられなくて、沙耶はぼんやりと言葉を発した。
「ああ」
きっぱりと答える匠真の声を聞いて、沙耶の目の奥がじわじわと熱くなった。
「匠真さんがあのときそんなふうに思ってくれてたなんて……」
「知らなかった?」
匠真がいたずらっぽい口調で訊いた。喜びとともに涙が込み上げてきて、沙耶は目を潤ませながら打ち明ける。
「はい。でも、あのとき私は、本当は期間なんて決めずに、ずっと匠真さんのそばにいたいって思ってました。でも、匠真さんに迷惑をかけたらいけないと思って……」
「三カ月で俺を落とそうとは思わなかった?」
「そんな自信、私にはなかったです」
「沙耶はもっと自信を持っていいんだよ。俺はとっくに君に落ちていたんだから」
匠真は沙耶の額にコツンと額を合わせた。
「君が好きだ」
甘さと切なさの入り混じった彼の声に、沙耶の目からついに嬉し涙がこぼれた。
「私も匠真さんが好きです」
彼は眉を寄せて、低くかすれた声を出す。
「沙耶」
「どうしたんですか?」
沙耶の声もかすれてしまった。
「離したくない」
匠真が沙耶の目を覗き込み、彼の息が唇にかかって、沙耶は息をのんだ。
「でも、私たちは、期間限定の――」
偽恋人で、と言いかけたとき、沙耶の唇に匠真が人差し指を立てて当てた。驚いて続きの言葉が喉の奥で消える。
「プラチナで沙耶と過ごすうちに、沙耶の笑顔を独占したいと思うようになった。だが、まだ君の心の傷が癒えていないようだったから、そばで見守ることにしたんだ。偽りの関係を持ちかけたのは、沙耶をほかの男に渡したくなかったからだ。君に期間を決めようと言われたときは少しがっかりしたが、その間に君に俺を好きになってもらおうと決めたんだ」
そう言って、匠真は片方の口角を引き上げた。不敵に見えるその表情は、偽恋人の期間を決めたときに、三カ月で『大丈夫だ』と言った彼と同じ表情だった。
「ほんと、ですか?」
嬉しすぎて信じられなくて、沙耶はぼんやりと言葉を発した。
「ああ」
きっぱりと答える匠真の声を聞いて、沙耶の目の奥がじわじわと熱くなった。
「匠真さんがあのときそんなふうに思ってくれてたなんて……」
「知らなかった?」
匠真がいたずらっぽい口調で訊いた。喜びとともに涙が込み上げてきて、沙耶は目を潤ませながら打ち明ける。
「はい。でも、あのとき私は、本当は期間なんて決めずに、ずっと匠真さんのそばにいたいって思ってました。でも、匠真さんに迷惑をかけたらいけないと思って……」
「三カ月で俺を落とそうとは思わなかった?」
「そんな自信、私にはなかったです」
「沙耶はもっと自信を持っていいんだよ。俺はとっくに君に落ちていたんだから」
匠真は沙耶の額にコツンと額を合わせた。
「君が好きだ」
甘さと切なさの入り混じった彼の声に、沙耶の目からついに嬉し涙がこぼれた。
「私も匠真さんが好きです」

