「お父さん、気分は――」
どう? と言いながら入ってきた美咲は、沙耶の姿を見つけて笑顔になった。
「まあ、沙耶ちゃん、来てくれてたのね、ありがとう」
「お母さんもいつもありがとう」
「沙耶がゼリーを持ってきてくれたんだ」
父が言い、沙耶は紙袋を持ち上げた。
「あの、父にもさっき言ったんだけど、今はカフェで働いてるの。そこで売ってるゼリーなんだけど、冷蔵庫に入れておくから、みんなで食べてね」
沙耶は壁際の小型冷蔵庫に近づき、しゃがんでドアを開けた。紙袋からプラスチック容器に入ったゼリーを四つ取り出し、棚に並べる。
「転職したの?」
美咲の言葉に、沙耶は立ち上がりながら答える。
「うん。前の会社が倒産しちゃって」
「ええっ、大変だったでしょう? 私たちのこと、頼りにくかったかしら……」
美咲がすまなそうに言った。
「そんなことないよ。だって、ほら、私はお父さん自慢の『しっかり者』の娘だし」
沙耶は最後はおどけた口調で言ったが、美咲は表情も申し訳なさそうにする。
「でも、困ったことがあったら、これからは頼ってほしいわ」
「うん、そうさせてもらうけど、私のことはあまり心配しないでね」
沙耶が言ったとき、スライドドアがノックされた。
「失礼します」
匠真の声がして、ドアがゆっくりと開く。
「代田さん、具合はいかがですか?」
紺色のスクラブにドクターコートを着た匠真が、病室に入ってきた。彼は普段の理知的で落ち着いた表情をしている。けれど、沙耶は昨夜の匠真の色気ある表情を思い出してしまった。
頬が熱を帯びてきて、それを悟られないように窓のほうを向いたとき、父が匠真に答える声がした。
「代田先生。おかげさまで、特に変わりありませんよ」
父に続いて母が「ありがとうございます」と言ったので、沙耶も隣で頭を下げた。顔を上げたとき、匠真と目が合う。
「沙耶さん、来てたんだ」
なにげない調子で匠真が言った。
「あ、はい」
「ランチタイムに出てきたの?」
「はい」
どう? と言いながら入ってきた美咲は、沙耶の姿を見つけて笑顔になった。
「まあ、沙耶ちゃん、来てくれてたのね、ありがとう」
「お母さんもいつもありがとう」
「沙耶がゼリーを持ってきてくれたんだ」
父が言い、沙耶は紙袋を持ち上げた。
「あの、父にもさっき言ったんだけど、今はカフェで働いてるの。そこで売ってるゼリーなんだけど、冷蔵庫に入れておくから、みんなで食べてね」
沙耶は壁際の小型冷蔵庫に近づき、しゃがんでドアを開けた。紙袋からプラスチック容器に入ったゼリーを四つ取り出し、棚に並べる。
「転職したの?」
美咲の言葉に、沙耶は立ち上がりながら答える。
「うん。前の会社が倒産しちゃって」
「ええっ、大変だったでしょう? 私たちのこと、頼りにくかったかしら……」
美咲がすまなそうに言った。
「そんなことないよ。だって、ほら、私はお父さん自慢の『しっかり者』の娘だし」
沙耶は最後はおどけた口調で言ったが、美咲は表情も申し訳なさそうにする。
「でも、困ったことがあったら、これからは頼ってほしいわ」
「うん、そうさせてもらうけど、私のことはあまり心配しないでね」
沙耶が言ったとき、スライドドアがノックされた。
「失礼します」
匠真の声がして、ドアがゆっくりと開く。
「代田さん、具合はいかがですか?」
紺色のスクラブにドクターコートを着た匠真が、病室に入ってきた。彼は普段の理知的で落ち着いた表情をしている。けれど、沙耶は昨夜の匠真の色気ある表情を思い出してしまった。
頬が熱を帯びてきて、それを悟られないように窓のほうを向いたとき、父が匠真に答える声がした。
「代田先生。おかげさまで、特に変わりありませんよ」
父に続いて母が「ありがとうございます」と言ったので、沙耶も隣で頭を下げた。顔を上げたとき、匠真と目が合う。
「沙耶さん、来てたんだ」
なにげない調子で匠真が言った。
「あ、はい」
「ランチタイムに出てきたの?」
「はい」

