彼のささやき声に耳をくすぐられて、沙耶は目をギュッとつぶって声を発する。
『た、匠真さん!』
匠真がクスリと笑う気配がして沙耶は目を開けた。彼は右手で沙耶の髪を耳にかけた。
『沙耶』
『は、はい!』
『そんなに緊張しないで。それじゃ、偽の恋人だって思われてしまう』
『あ、そ、そうですよね。でも、私たちは本物の恋人同士じゃなくて。あ、でも、お父さんにそれを気づかれたらいけないわけで』
沙耶があわてていたら、匠真は彼女の髪をそっとなで下ろして、毛先を指先に絡めた。
『俺を本物の恋人だと思ってくれて構わないよ』
『た、匠真さんも、私を本物の恋人だと思ってくれて大丈夫ですよっ』
沙耶はあえぐようにして言った。
『ありがとう。だったら、君が俺の恋人だって公言してもいい?』
『こ、公言ですか?』
『ああ。プラチナにやって来る男の客に、沙耶は俺のものだって知らせたい』
「で、でも、そんなことをしたら、三カ月経って別れたときに噂になって、匠真さんがプラチナに来づらくなります』
沙耶の言葉に、匠真は少し考えるような表情になった。
『そんなことをするつもりも、させるつもりもないよ』
『そ、それはどういう……?』
問いかけた沙耶の髪に匠真がチュッとキスをした。あまりに煽情的なその仕草に、沙耶の頭から思考がすべて吹き飛んでしまった。
沙耶の髪に口づけたときの匠真の男らしい色気のある表情を思い出すと、いまだに胸がドキドキする。
(匠真さんって、プライベートではあんな顔もするんだ……。あんなの反則だよ)
勤務中の彼に会ったら、思い出して真っ赤になってしまいそうだ。
(それにしても、『そんなことをするつもりも、させるつもりもないよ』って……あれはいったいどういう意味だったんだろう)
歩きながら改めて彼の言葉の意味を考えてみるが、やっぱりよくわからない。
噂にするつもりも、噂にさせるつもりもないということなのか。
それとも、プラチナに来づらくなるつもりも、来づらくさせるつもりもないということなのか。
(別れるつもりも、別れさせるつもりもない……なんてことはないよね)
さすがにそれは願望がすぎるだろう。
『た、匠真さん!』
匠真がクスリと笑う気配がして沙耶は目を開けた。彼は右手で沙耶の髪を耳にかけた。
『沙耶』
『は、はい!』
『そんなに緊張しないで。それじゃ、偽の恋人だって思われてしまう』
『あ、そ、そうですよね。でも、私たちは本物の恋人同士じゃなくて。あ、でも、お父さんにそれを気づかれたらいけないわけで』
沙耶があわてていたら、匠真は彼女の髪をそっとなで下ろして、毛先を指先に絡めた。
『俺を本物の恋人だと思ってくれて構わないよ』
『た、匠真さんも、私を本物の恋人だと思ってくれて大丈夫ですよっ』
沙耶はあえぐようにして言った。
『ありがとう。だったら、君が俺の恋人だって公言してもいい?』
『こ、公言ですか?』
『ああ。プラチナにやって来る男の客に、沙耶は俺のものだって知らせたい』
「で、でも、そんなことをしたら、三カ月経って別れたときに噂になって、匠真さんがプラチナに来づらくなります』
沙耶の言葉に、匠真は少し考えるような表情になった。
『そんなことをするつもりも、させるつもりもないよ』
『そ、それはどういう……?』
問いかけた沙耶の髪に匠真がチュッとキスをした。あまりに煽情的なその仕草に、沙耶の頭から思考がすべて吹き飛んでしまった。
沙耶の髪に口づけたときの匠真の男らしい色気のある表情を思い出すと、いまだに胸がドキドキする。
(匠真さんって、プライベートではあんな顔もするんだ……。あんなの反則だよ)
勤務中の彼に会ったら、思い出して真っ赤になってしまいそうだ。
(それにしても、『そんなことをするつもりも、させるつもりもないよ』って……あれはいったいどういう意味だったんだろう)
歩きながら改めて彼の言葉の意味を考えてみるが、やっぱりよくわからない。
噂にするつもりも、噂にさせるつもりもないということなのか。
それとも、プラチナに来づらくなるつもりも、来づらくさせるつもりもないということなのか。
(別れるつもりも、別れさせるつもりもない……なんてことはないよね)
さすがにそれは願望がすぎるだろう。

