冷たい印象の女性が幼い男児を抱いていたことを思い出す。地味な印象だったので、てっきり侍女だと思っていた。
「思い出してくれたんだね。そう。その方」
侍女だと思っていたとこぼせば、あながち間違ってはいないという。
もともと、城に行儀見習いの名目で働きに来ていた下級メイドだそうだ。
「母上は、没落寸前の男爵令嬢だったから。でもねぇ、父上や私は、あの顔立ちに弱いのだよ」
一見地味だが、きちんと見れば氷を思わせるような冷たい美貌。
エミリアの母もそんな顔立ちだったという。その印象に似ている継母を、最初に懐き、父に勧めたのはエミリア自身だそうだ。事実家族の仲は睦まじいが、それを庶民的で良しとしない輩も多いのだという。
そして、王子の称号を持たない愛する弟を、エミリアは心の底から心配していた。ないがしろにされることも、逆に王位継承者として祭り上げられ利用されるようなことも。
その気持ちを汲み、コナンは深く頷く。
「ええ、喜んで力になるつもりですよ」
これは本心。
後ろ盾のない少年の味方になりたい。そう、あの子供を見た瞬間に思っていた。
「よかった。いい兄が出来てあの子も喜ぶだろう」
「そうです……ね?」
(ん? 兄?)
一瞬妹とオズワルドが一緒になるところを想像し、首をかしげる。さすがに年が離れ過ぎではないだろうか。
そんなコナンを見てコロコロと笑うエミリアは、一歩コナンに近づき、その胸元に自分の手のひらを当てた。
「あなたは、私の夫になるのでしょう?」
小首をかしげるエミリアの蠱惑的な表情に、コナンはカッと赤くなる。
「殿下、それは」
「違うのかい? 私はあなたと結婚したいのだけど」
「思い出してくれたんだね。そう。その方」
侍女だと思っていたとこぼせば、あながち間違ってはいないという。
もともと、城に行儀見習いの名目で働きに来ていた下級メイドだそうだ。
「母上は、没落寸前の男爵令嬢だったから。でもねぇ、父上や私は、あの顔立ちに弱いのだよ」
一見地味だが、きちんと見れば氷を思わせるような冷たい美貌。
エミリアの母もそんな顔立ちだったという。その印象に似ている継母を、最初に懐き、父に勧めたのはエミリア自身だそうだ。事実家族の仲は睦まじいが、それを庶民的で良しとしない輩も多いのだという。
そして、王子の称号を持たない愛する弟を、エミリアは心の底から心配していた。ないがしろにされることも、逆に王位継承者として祭り上げられ利用されるようなことも。
その気持ちを汲み、コナンは深く頷く。
「ええ、喜んで力になるつもりですよ」
これは本心。
後ろ盾のない少年の味方になりたい。そう、あの子供を見た瞬間に思っていた。
「よかった。いい兄が出来てあの子も喜ぶだろう」
「そうです……ね?」
(ん? 兄?)
一瞬妹とオズワルドが一緒になるところを想像し、首をかしげる。さすがに年が離れ過ぎではないだろうか。
そんなコナンを見てコロコロと笑うエミリアは、一歩コナンに近づき、その胸元に自分の手のひらを当てた。
「あなたは、私の夫になるのでしょう?」
小首をかしげるエミリアの蠱惑的な表情に、コナンはカッと赤くなる。
「殿下、それは」
「違うのかい? 私はあなたと結婚したいのだけど」



