スマホの画面に、怜央からの短いメッセージが届いた。

《今度、久しぶりにパーティーに行くんだけど、一緒に行かない?》

思わず眉をひそめた彩が返信する。

《パーティー?》

驚きを隠しきれずに送ると、すぐに返事が返ってきた。

《顔を出すから一緒にどう?》

画面を見つめたまま、彩は少し考える。

《え? 別に、私が行ってもいいの?》

すると、怜央から即座にメッセージが届いた。

《もちろんだよ。俺の彼女でしょ?笑》

“俺の彼女”。

その言葉に、彩の指がふと止まる。
契約恋人とはいえ、彼の口からそんな風に自然に言われるのは妙にくすぐったかった。
少し迷ったが、最終的に彩は

《いいよ!》

一言だけ返信した。

(まあ、たまにはいいか)

こうして、彩はパーティーに行くことを決めた。

***

パーティーの夜、会場に着いた彩は、高級感のあるクラブのエントランスに目を見張る。

煌めくシャンデリア、ドレスアップした人々、洗練された空気。

(……うん、新作のディオールのワンピにして正解)

スカートの裾を整えながら、隣に立つ怜央に視線を向ける。
彼はネイビーのスーツに身を包み、すれ違う人々に軽く会釈をしながら堂々と歩いていた。

「さて、今日は楽しくいこう」

軽く笑いかけてきた怜央に、彩は少し首をかしげる。
「え、どうして私を連れてきたの?」

自然な疑問が口をつく。

「だって、こういうの慣れてそうだし、好きそうかなって思って」

怜央は肩をすくめるように答えた。

「オシャレ好きで、トレンドに敏感で、華やかな場所も似合うし……あと、俺が浮かないように隣にいてくれるしね」

「……最後のが本音でしょ?」

「バレた?」

怜央が茶目っ気たっぷりに笑い、近くのスタッフから受け取ったグラスを彩に手渡した。

「ほら、楽しんで」

受け取ったシャンパングラスを見つめながら、彩は怜央の横顔をちらりと見た。

(……怜央さん、私のことどういう女だと思ってるの?)

妙に胸に引っかかる。


***

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