だって私はヒロインじゃない!

 私の返事が素っ気ないからか、神子戸ちゃんは悲しそうに眉の端を下げている。


 いや、そんな顔されても。


 私は貴女の王子様じゃないからね?


 って、頼りの王子様が不在じゃ、仕方ないか……。




「おはよう。随分と静かだな」




 その一言で、教室が明るくなった。


 ……というか、騒がしくなった。


 そりゃそうだ、みんな大好き、『王子様』がやってきたんだから。




「お、おはよう!青峰君」


「おはよう。どうしたんだ?さっきまでの空気は」