吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 リリーさんの言う打開策とは一体なんのことだろう?

 考えたところでわかるはずもなく、深緋は玄関扉を開けて中に入った。

 *

 翌朝。目が覚めたら、白翔からのラインが鳴った。滅多に鳴ることのない携帯なので、ビクッと肩が震えた。

【おはよう、深緋! 昨日言ってた合宿だけど、8月8日から8月10日までで場所はここ↓】

 端的に書かれた文面の下にURLが貼られている。中を確認すると、電車などの交通機関を使って二時間半ぐらいで行けるので、そう遠くない場所だ。

 続けてまた着信音が鳴った。

【あと、今日だけど。部活行く前にちょっと顔見に寄っていい? 早く会いたくて!】

 白翔らしい文面に、なんとも言えない可笑しさが込み上げた。フッと笑みを浮かべ【いいよ】と返事を送った。サッと身支度を済ませる。

 昨日の吸血時間は、午前十一時を過ぎたか過ぎていないかという時間帯だった。なので、今日はその時間がタイムリミットだ。

 白翔が会いに来た直後にもらって、気絶した彼に適当な嘘で誤魔化す。深緋は洗面台の鏡に映る自分を見つめ、知らず知らずのうちにため息をこぼしていた。

 あの甘美な血液(ジュース)をまた味わえるのは嬉しいけど。注文した採血キットが届くまでは、毎日その場しのぎの嘘で取り繕うしかない。

 自分の正体を明かすまで、ずっと白翔を騙し続けなければいけない。

 歓喜と憂鬱がせめぎ合い、心中には光の差さない曇天が広がっている。