「いえ、本気です! 俺。妹さんのこと、前からずっとずっと好きで……」

 言いながら、白翔の顔が紅潮する。照れから隣りに座る深緋を見れない様子だ。

「そっ。深緋は?」

 ジッと見据える祖母の瞳が、今度は深緋に向いた。

「うん。白翔が好き。白翔がいないと……生きていけない」
「……えっ!」

 隣りの彼が肩を揺らし、深緋の顔をまじまじと覗き込んだ。赤い顔で「ほんと?」と尋ねられる。「本当だよ」と微笑んだまま頷く。

 白翔がどこか腑に落ちない顔つきで首を捻った。

「両思いなら恋人同士ってことになるけど……ハクトはそれでいいかな? 彼氏で」

 祖母の言う彼氏は、イコール、吸血相手(ペット)を意味する。深緋はそれを充分に理解し、眉を下げた。

「……あ、もちろんです。俺、一生大事にします」

 その言い方だとまるで結婚するみたいだ。

「そう。じゃあ、こっちからひとつだけ条件を出すけど」
「あ、はい」
「深緋と付き合うなら、毎日欠かさず、それも二十四時間以内に深緋に会いにくること。深緋が会いたいって言った時は絶対、ね? これを守れるかしら?」
「はい、守ります。俺もできるだけ深緋と離れたくないんで。迷惑じゃなければ毎日でも来ます」

 白翔は真剣だった。それほど自分を想ってくれているのだと伝わるだけに、胸が痛くなる。嬉しいけど、悲しい。