吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 細い躰や毛並みの状態、首輪を付けていないことからそう判断する。白翔が顎を引き、同意を示した。一度開けた側溝の蓋を白翔に閉めてもらい、二人で職員室に連れて行く。

 教師たちの取り計らいで、猫はしばらく学校で面倒をみることになり、その間に飼ってくれる人を探すことになった。

 教室へ戻る途中、「あのさ」と若干どもった言い方で白翔が続けた。

「今さら、なんだけど……。朝比奈って俺のこと、知ってる?」
「え……」

 ああ、いや、とどこか慌てた様子で彼が頭に手をやった。

「一応、同じクラスなんだけど。朝比奈ってあんまり他人(ひと)に関心がないように見えたから。俺の名前も知らないんじゃないかと思って……」

 自身の発言が恥ずかしいのか、白翔の頬が赤く染まる。言葉の最後の方は尻すぼみになった。

「大路 白翔」

 事もなげに深緋がその名を口にすると、白翔は呆気に取られた様子で「え」と呟いた。

「大路 白翔くん、だよね。知ってるよ?」
「あ、ああ……なんだ」

 ホッと安心したような、はにかんだ笑みを浮かべて、「そっか、そうだよな」と白翔はしきりに頷いた。

「さっき。キミって呼ばれたから、さ……なんとなく、気になって」
「苗字で呼びたくなかっただけ」
「……え?」
「おおじくん、って。なんか響きが王子様みたいでしょ?」

「ああ、うん」と彼が表情を固める。「それ、よく言われるやつ」