吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 ひと口分の血をそのまま吐き出したせいで、スグルくんの首から肩の部分が深い赤色に染まっている。

「え、うわ。大丈夫? 深緋ちゃん??」

 いつもならすぐに気を失うはずだが、そうなる前に牙を離していたからだろう。スグルくんは肩を血で濡らしつつも、その場で(うずくま)る深緋を心配していた。

 深緋は涙目を細め、顎から(したた)る血をグイッと手で拭った。ある程度は予想していたが、ここまで強烈な拒絶反応が出るとは……。

 スグルくんには申し訳ないけれど、とても飲めたモノじゃ無かった。

「深緋。もうあんたはあの坊やの血しか飲めなくなった。吸血鬼伝承で語られる“かわいそうな女の子”と同じだよ」

 思わず言葉に詰まった。グッと息を飲み込み、唇を震わせる。

「アタシたちはね。恋をしたらその時点で、普段飲めていた血に異変を感じてしまうんだ。いつもより美味しくない、味がおかしい、そういうちょっとした違和感から始まって、ついには意中の相手の血を口にしてしまう」
「……え?」

 深緋は目を見開いた。祖母がまるで自分のことのように、吸血に感じていた異変をそっくりそのまま言い当てたからだ。

 瞬間。ハッと息を飲み込み、前に立つ祖母と、すぐ隣りにしゃがみ込んだスグルくんを交互に見比べた。

 動揺する深緋に気づき、「そうだよ」と祖母が頷く。