吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 一階にある祖母の洋室に入って早々、単刀直入に尋ねられた。

「深緋、あの坊やにキスをしようとしてたけど。もうそういう関係になったのかい?」
「違うっ」

 深緋は即座に首を振り、ワンピースの裾をギュッと握りしめた。

 確かにあの瞬間、吸血ではない方法で迫ってしまったけど、あれは一種の気の迷いだ、と。必死に自分に言い聞かせていた。

「て言うか、リリーさんっ。いつからいたの?」
「そうだねぇ、血を舐めたってとこからはちゃんと聞いてたけど?」

 ……そんな。不自然に頬がひくついた。

「深緋、もうあの坊やに気持ちがあるんだろ?」

 祖母の瞳に射抜かれて、ドキンと鼓動が鳴る。もはや言い逃れる術もなく、深緋は深く頷いた。

「だけど」と喉奥から声を振り絞る。

「この夏休み中に引っ越すなり、転校するなりして……白翔から離れれば大丈夫だから。もう二度と……会わない」
「あの子の血は何回飲んだ?」
「え……っ、と。多分……二回、だと思うけど」

 もう何度思い出しただろう、白翔の甘美な血の味が舌に蘇る。

 深緋は飲んだときの状況を思い出しながら、祖母に言い訳を並べた。

 ずっと同級生(こども)からは血を貰わないと言い張ってきたので、記憶を消すために白翔から血を飲むことになった経緯を説明した。

 祖母は、既に殺人鬼との攻防を知っていたようで、スグルくんから聞いたのだと察した。