吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 今まで何度絡まれてもひたすらダンマリを続けてきたので、尾之上以外の女子は口を噤み、うろたえていた。

 ただ一人、尾之上だけは怒りに任せて深緋へ掴みかかろうとした。

「てめぇ、調子に乗ってんじゃ、」

 彼女が伸ばした手をぎりぎりで交わし、腹に膝蹴りを入れてやった。

 うぐ、と呻き声を上げ、尾之上がその場に(うずくま)る。お腹を押さえた彼女を心配し、三人がすぐさま駆け寄ってくる。

 良いよね、これぐらいは。正当防衛だし。

 二学期からまた何かしてくるだろうと予想がついたけれど、祖母とスグルくんを上手く説得できたら転校するつもりだ。

 尾之上たちから逃げるみたいで(しゃく)だが、白翔のことがあるから仕方ない。

「じゃあ、そういう事だから。バイバイ、女子高生(クソガキ)ども」

 深緋はヒラヒラと手を振り、彼女たちに背を向けた。

 ああ、くそ。ガラにも無く、熱くなってしまった、と。済んでから嘆息が滲み出る。

 あんなガキどもは無視していたら、すぐに飽きてくれると思ったのが間違いだった。

 通学鞄から折り畳みの日傘を取り出し、深緋は校舎を後にする。



「……じゃあ何でそう言わねぇんだよ」

 ——遠ざかる深緋の背を見つめ、騒ぎの途中から目撃していた白翔が、ボソッと独りごちた。切った指先には僅かに血の滲んだ絆創膏が巻かれていた。