吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 奥歯をぐっと噛み締めて、目を逸らした。体育館倉庫に向かい、バスケットボールをカゴに仕舞う。

 だめだ。いくら欲しくても、もう二度と白翔の血は吸わない。あの味を再確認したら、私は今のこの気持ちを(・・・・・・・・)認めなくちゃいけない。

「なんだよ、深緋。もうバスケしねーの?」

 指先でボールをくるくる回しながら、白翔もボールを仕舞う。すぐそばに白翔の存在を感じて、ブルブルと体が震えた。

 今日の吸血のタイムリミットまでは、まだ数時間残されている。いつもならだれかの血を飲まなくても、耐えられる状態だ。

 なのに、どうしてだろう……? 血が欲しくてたまらない。何で??

 ふと白翔に目を向けると、彼は右手の人差し指を口にくわえていた。

「ああ、なんかコレ……、逆むけ、っていうの? 気付いたらなってた」

 それでさっきから血の匂いがするのか。

「……見せて?」
「え」

 キョトンとする白翔の手を取って、深緋は今しがた彼がしたように、その指を口に含んだ。

「——ッな!?」

 もうほとんど血は止まっているけれど、良い香りが鼻腔をくすぐり、たまらなくなる。

 欲しい。ひとたびそう思うと、口の中がムズムズと疼いた。

 欲しい、欲しい、今すぐ飲みたい。白翔に……かぶりつきたい!