吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

「何も知らないくせに」と本音がこぼれた。「知らないよ」と白翔が答える。

「だから知りたいと思ってる、もっともっと深緋のことを」

 キュッと眉を寄せ、抱っこしたままのボールに視線を落とした。

 白翔がどうして男女問わずに人気があるのか。いま初めてわかった気がした。

 彼は思いやりが深い人だ。そしてそれに見合う情熱も持っている。自分がこうと決めたことに関して、全力で突き進み、相手の事情にも寄り添える。

 初めて会話を交わしたあのときが、彼の性格を顕著に表していた。大半の人間が素通りするであろう野良猫を助けるために、懸命に頭を働かせていた。

 クラスメイトに馴染まない私のことなんか、放っておけばいいのに……白翔はそうしない。今までに九回、女子高生を繰り返してきたけれど。こんな子は初めてだ。

「深緋にとってはウザいかもしんないけど。ほっといてとか、関係ないとか言うなよ。俺たち、友達だろ?」

 友達。

「……そうだね」

 確かに白翔はそうに違いないけど。その響きに胸が苦しくなるのは、どうして?

 二人してバスケットボールを手にしながら、暫し沈黙していた。

 目線を上げてジッと白翔を見つめる。そうしていると、つい昨夜のことを思い出し、また吸血の欲に囚われる。