吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 ボウガンの矢を撃たれた白翔も、手術に時間を要したものの、大事には至らなかったそうだ。肩や右(もも)の重要な血管を損傷せずに済み、後遺症も残らないと医師から丁寧に説明された。

 ようやく悪夢から解放されたのだ。恐ろしい殺人鬼は寿命を縮めた事によって命を落とした。もう二度と現れる事はない。

 深緋はグス、と(はな)を啜り、「本当に良かった」と涙をこぼした。それを見て、白翔が大きく頷いた。

 夜になり、事情聴取のために強面(こわもて)の刑事が二人、病室を訪れた。

 ドラキュラの血や吸血鬼に関することは一切話せなかったので、深緋は言葉を詰まらせながら話せる事だけを話した。織田から受けた精神的な苦痛を理由に、曖昧な部分があっても問い詰められる事はなかった。

 刑事との会話の中で、織田に関する情報も多少は得られた。織田は自身の余命をあとひと月と悟り、自宅のノートパソコンに遺書らしき文書を残していたそうだ。

 内容はざっくりとしか教えてもらえなかったけれど、彼がこれまでに犯した殺人の記録が綴られ、拷問の末に殺した女性の名前や、オブジェとして山に飾った女性のそれが記載されていたそうだ。