吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 苦しそうに(うめ)く織田を見つめ、深緋は肩で大きく息をした。彼の最期を見届けない事には安心できない、そう思い、張り詰めた表情で織田を窺ってしまう。

 ごろんと仰向けになった織田は、細めた瞳で空を見つめ「あーあ……」と嘆息をもらした。湿気を含んだ山の空気に包まれ、目尻から一筋の涙をこぼした。

「もったいない、なんて……思わなければ、よかった……な」

 力なくそう続けたあと、ピクリとも動かなくなった。半開きの瞳は瞳孔が溶け出し、そこから意志が消えたのだと思った。これまでの美しさが嘘のように、肌がひび割れ、シワができていく。

 織田が死んだ……。

 そうと理解して一気に脱力感に襲われた。足から力が抜けてへたり込みそうになる。「深緋」と名前を呼ばれ、ハッとする。

「おいで」と言って微笑み、白翔が右腕を上げていた。彼の元に身を寄せると、優しく後頭部に触れられる。ようやくキスを交わした。

 二人して暫く動けずに座り込んでいると、ガサガサと音を立てて誰かが近付いてくる。深緋たちの前に現れたのが警察官と知り、安堵から笑みを浮かべた。とろりとした眠気に微睡(まどろ)み、その後、救急隊の処置を経て二人は病院へと搬送された。