右手に掴んだ小さな、極小といってもいい試験管を織田の顔目がけて振りかける。深い、真紅の液体が織田の鼻と口元を汚した。
ドラキュラの本能に則して、織田の舌が口の周りを舐めた。形のいい唇が「純血……?」と呟いた。とろんとまぶたが下がり、手にしていたボウガンを取り落とした。
すかさず白翔が右腕を伸ばし、傍へと放り投げた。
「そうだよ! これは女人谷の長である紫月さんの血!」
「…っ、あの女の……、どうりでっ」
そこで織田が胸を押さえて蹲る。そのまま苦しそうに唸り始めた。
——『二本持っていけ』
女人谷で採血を待っている間、彼女は深緋にそう言った。
先に渡された血液ペンダントを首から提げ、深緋はきょとんと目を瞬いた。
『あのドラキュラはかなり鼻が利くからな。一本をペンダント式で持つとして、もう一本は隠して持ち歩け。これだけは絶対に悟られてはならぬぞ』
強い瞳で極小の試験管を渡されて、深緋はそれを左胸のブラジャーの裏に忍ばせた。この存在だけは絶対にバレてはいけない。常にそう思っていたので、血液ペンダントを取り上げられた時はどうしようかと思った。胸元に鼻先を寄せられて、心底肝が冷えたのだ。
「そうか」と息も絶え絶えに織田が言った。
「もう……っ、これで終わり……あと、ひと月はあったのに……っ」
ドラキュラの本能に則して、織田の舌が口の周りを舐めた。形のいい唇が「純血……?」と呟いた。とろんとまぶたが下がり、手にしていたボウガンを取り落とした。
すかさず白翔が右腕を伸ばし、傍へと放り投げた。
「そうだよ! これは女人谷の長である紫月さんの血!」
「…っ、あの女の……、どうりでっ」
そこで織田が胸を押さえて蹲る。そのまま苦しそうに唸り始めた。
——『二本持っていけ』
女人谷で採血を待っている間、彼女は深緋にそう言った。
先に渡された血液ペンダントを首から提げ、深緋はきょとんと目を瞬いた。
『あのドラキュラはかなり鼻が利くからな。一本をペンダント式で持つとして、もう一本は隠して持ち歩け。これだけは絶対に悟られてはならぬぞ』
強い瞳で極小の試験管を渡されて、深緋はそれを左胸のブラジャーの裏に忍ばせた。この存在だけは絶対にバレてはいけない。常にそう思っていたので、血液ペンダントを取り上げられた時はどうしようかと思った。胸元に鼻先を寄せられて、心底肝が冷えたのだ。
「そうか」と息も絶え絶えに織田が言った。
「もう……っ、これで終わり……あと、ひと月はあったのに……っ」



