遠方からざっ、ざ、と草木を踏み分ける足音。納屋から離れたはずの織田がボウガンを片手にこちらへ近づいて来る。
白翔が振り返り、深緋を背で隠した。負傷していない方の右腕を上げる。
「深緋は先に逃げろ」
「……っでも」
「俺が食いとめるから、早く!」
「そんな……っ」
白翔の声に気圧され、少しだけ彼から離れるけれどこのまま置いてなんて行けない。いったいどうやって、と思ってしまう。矢を防御する盾なんて持っていないのに。
「やだなぁ。勝手に俺の獲物を連れてかないでくれる?」
数メートル先で織田が立ち止まった。心底嫌そうに顔をしかめている。
「ご丁寧にスマホで動画なんか流してくれちゃってさ。危うくその音に騙されるところだったよ」
言いながら白翔の手前にポンとスマホを投げて寄越した。中央に矢が刺さっている。無数のひび割れが入り中が抉れている。
「そっちこそ」と白翔が語気を強めた。
「うちの嫁を勝手に連れ去ってどういうつもりだよ? もうすぐ警察が来る、おまえもここで終わりだな」
ハァ、と大仰なため息をつき、織田が片手で頭を抱えた。「おまえ邪魔なんだよなぁ、ほんと」と不満をもらしている。舌打ちをついた。
「いつもブンブン、ブンブン、朝比奈深緋の周りを飛び回りやがって。蝿か何かか? 害虫にも程がある」
白翔が振り返り、深緋を背で隠した。負傷していない方の右腕を上げる。
「深緋は先に逃げろ」
「……っでも」
「俺が食いとめるから、早く!」
「そんな……っ」
白翔の声に気圧され、少しだけ彼から離れるけれどこのまま置いてなんて行けない。いったいどうやって、と思ってしまう。矢を防御する盾なんて持っていないのに。
「やだなぁ。勝手に俺の獲物を連れてかないでくれる?」
数メートル先で織田が立ち止まった。心底嫌そうに顔をしかめている。
「ご丁寧にスマホで動画なんか流してくれちゃってさ。危うくその音に騙されるところだったよ」
言いながら白翔の手前にポンとスマホを投げて寄越した。中央に矢が刺さっている。無数のひび割れが入り中が抉れている。
「そっちこそ」と白翔が語気を強めた。
「うちの嫁を勝手に連れ去ってどういうつもりだよ? もうすぐ警察が来る、おまえもここで終わりだな」
ハァ、と大仰なため息をつき、織田が片手で頭を抱えた。「おまえ邪魔なんだよなぁ、ほんと」と不満をもらしている。舌打ちをついた。
「いつもブンブン、ブンブン、朝比奈深緋の周りを飛び回りやがって。蝿か何かか? 害虫にも程がある」



