吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

「困ったな。だれか来ちゃうみたい。こんなとこ普段ならだれも来ないのに」

 もしかして、白翔が? 白翔が警察を呼んでくれたの?

 途端に一縷の希望が湧いて、深緋は控えめに話しかけた。

「だ、だったら。逃げればいいんじゃ、ないですか?」
「せっかく手に入れた獲物をみすみす手放すなんて、俺がすると思う? ああ、苛々してきた」

 そう言うや否や、再び織田の手がラジオペンチを掴んだ。なんの躊躇いもなく、深緋の親指に当てがい、ひと息に爪を剥いだ。

「っああぁああ……っ!」

 左手の親指が、焼け付くように痛い。内臓がギュッと縮むような寒さに襲われる。ズキズキと疼く痛みの連鎖が止まらない。背中の血も未だに流れたままだ。

「距離的にはまだそんなに近くないけど。ちょっと行って追い返してくる」

 深緋を椅子に縛り付けたまま、織田が部屋の隅へと歩き、ゴソゴソと荷物を漁った。手にしたのはボウガンのような武器だ。そのまま納屋の戸口へ向かう背を、絶望的な気持ちで見送った。

 板張りの戸が開き、パタンと閉ざされる。織田が納屋からいなくなった事を確認し、「んんっ」と左腕に力を入れる。上下左右に腕を揺らし、ガムテープで固定されている左腕をなんとか台から外そうと試みる。