吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 そう言って織田がようやく離れた。一時的な恐怖から解放され、深緋は安堵の息をついた。

「ちょっと待ってね」と言い残し、織田がそばからいなくなる。視界から消えただけで、同じ室内にいる。ガタガタと音がした。首を動かせないので、深緋には把握できないが、納屋の隅に置かれた木製の台をひょいと持ち上げて運んでくる。幅が二十センチほどの細長い机のようだ。

 深緋の左側、ちょうど肘掛けになるような形でそれを置く。机上にはカッターナイフとラジオペンチ、ガムテープが載っていた。そのうちのひとつ、ペンチを手に取り、深緋に見せつけた。

「あまり惨い拷問をすると、死に顔が醜くなるから。次はこれにしておくね?」
「やめ、やめ……っ」

 唇がぶるぶると震えて声が上手く出せない。ジンジンと背中の傷が疼く。もう吸血鬼ではないので、自己修復作用もない。

 彼の奇行をどうやって止めればいいというのだろう。どうでもいい、くだらない話で引き伸ばすつもりでいたのに、今は喋るのすら辛い。

 織田が深緋の隣りで腰を下ろした。ブツリ、と乾いた音がして、手首が楽になる。縄を切ってくれた? そう理解して、腕を上げようとするが。グッと大きな手に掴まれた。びくともしない。

 織田の手によって、自身の視界に入るよう、無理やり左手を動かされた。