吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 白翔が起きているなら、ちゃんと私たちが家で寝てるかどうかをGPS機能で確認する。私が家にいないとわかれば、大慌てで仕事を切り上げて帰ってくるはずだ。それから警察に電話して、助けを寄越してくれる……はず。

「例えば……話し相手、とか」
「つまらないよ、そんなの」
「だって……私のことを旧友って言ったじゃない。友達、なんでしょう?」

 織田は眉を下げてため息を吐いた。

「変わったね、深緋ちゃん。がっかりだよ」
「……え?」
「吸血鬼の頃の方が生き生きして、今の何万倍も輝いてた。娘やダンナなんか持つからそうなるんだよ。安心安全が当たり前って? そんなのクソくらえだ。だいいち命乞いなんて……見苦しいよ」

 気怠げに首を振りながら、織田が立ち上がる。一度視界の隅へ消えてから、なにかを手にまた戻ってくる。以前にもそれを見たことがある。アイスピックだ。

「深緋ちゃんにはなるべく傷を付けたくなかったけど。萎えちゃったし。背中ぐらいは仕方ないよね」

 そう言って織田は深緋の背後に回る。途端にぶるぶると背が震える。視界に映らないので恐怖が倍増する。

「お、織田さんっ、お願い、やめて……っ」
「大丈夫。ちょっと痛めつけるだけでまだ殺さないから」

 背中を手のひらで撫でる感覚が伝わり、肌がゾワゾワと粟立った。恐怖から心拍数が上がり、歯が震える。