吸血少女はハニーブラッドをご所望です(コミカライズ原作です)

 こんな目立った状態でペンダントの血を使う(・・)のは困難を極める。どうしよう。

 深緋が首から提げたペンダントには女人谷の長である紫月さんの血が入っている。すなわち女吸血鬼の純血だ。

 つい数時間前の、厳然の間で話し合っていた事を思い出す。

 織田に対してはっきりとした答えが得られぬまま退室しようとすると、『待て』と紫月さんに呼び止められた。深緋は再び居ずまいを正した。

『其奴に会いに行くつもりか?』
『……はい。娘のことがありますし。今夜会うのを避けても、必ずまた接触してくると思うので』
『ドラキュラの標的(ターゲット)がミアカ、おまえかもしれぬのにか?』
『……え。私、ですか?』
『そうだ。おまえの娘を吸血鬼化するのがただのハッタリだった場合、ドラキュラはおまえを殺すために呼び出しているやもしれん』
『どうして……』

 こぼれ落ちるのは漠然とした疑問だった。今さらどうして、自分があの殺人鬼に狙われなければいけないのか。

『あのドラキュラがこの村へ来たのは一度きりだったが。彼奴(あやつ)はミアカを(いた)く気に入っているようだったからな』

 気に入られているから(・・・・・・・・・・)殺される(・・・・)……?

 どうしてそうなるのだろう。織田の感覚が全く理解できない。

『そうなった場合は……いったいどうしたら』